先日、風邪をひいた。
症状はたいしたことない。喉が少し痛い。それだけだった。
でも、イライラした。集中できなかった。何をやっても気が散った。ご飯がおいしく感じなかった。横になっていても、すっきりしない。
たった喉の痛みだけで、これだけ生活が変わる。
回復しながら、ふと考えた。
僕は消化器外科医として、いろんな患者さんと接してきた。
大きな手術を終えたばかりなのに、偽溝の痛みや疑問を抱えながら小さく笑って外来に来る人。何か月も原因のわからない腔痛や不調と闘い続けている人。表皮水疱症の患者さんのように、毎朝、包帯を替えることから一日が始まる人。
その大変さを、僕は本当に理解できているだろうか。
頭では知っている。データも知っている。教科書にも書いてある。でも、自分が不調になって初めて、「ああ、これが続くのか」と少しだけ想像できた気がした。
少しだけ、だ。患者さんたちの日常には、まだ遠く及ばない。
医師になって何年も経つのに、こういう気づきがまだある。風邪をひいてよかった、とは言えないけれど、振り返るいい機会になったとは思っている。
体が不調なとき、人は孤独になりやすい。andewを作った理由の一つも、そこにある。食べることを通じて、誰かとつながれるものを作りたかった。
今日は、そんなことを考えた。
— 中村恒星

