よく聞かれる。
「なんでチョコレートなんですか?」
医師がフードテックをやっている、というだけでも珍しいのに、よりによってチョコレート。お菓子じゃないですか、と。
でも、これは偶然じゃない。ちゃんと理由があります。
今日は、その話をさせてください。
チョコレートが、摂食困難な人たちにとって最適な食品である理由が、大きく4つあります。
ひとつめ。口溶けがいい。
チョコレートは、口の中で溶けます。咀嚼の力がほとんどいらない。固いものが食べられない患者さんにとって、これは大きい。飲み込む負担が少なく、口腔内への刺激も最小限で済む。
ふたつめ。賞味期限が長い。
常温で1年保存できる。これは、患者さんにとって本当に重要なことです。
患者さんや高齢者の体調は、常にいいわけじゃない。いい日もあれば、悪い日もある。体調が悪いときほど、栄養が必要なのに、食べられなくなる。この矛盾した負のサイクルを、どうやって超えるか。
長期保存できる食品を「手元に置いておける」こと。これが、一つの答えになります。
みっつめ。栄養価を高めやすい。
チョコレートには、さまざまなものを混ぜ込みやすい。ナッツ、きなこ、チアシード、昆布。andewに8つの素材が入っているのは、チョコレートという形だからこそできることです。体にいいものを、おいしく届けやすい。
よっつめ。おいしいこと。
これが、実は一番大切だと思っています。
栄養がある、保存できる、飲み込みやすい。全部そろっていても、おいしくなければ続かない。そして、おいしくなければ「一緒に食べよう」とはならない。
チョコレートは、老若男女に受け入れられているお菓子です。誰かに渡したくなる。誰かと分け合いたくなる。そういう感情を引き出せる食べ物は、他にそう多くない。
この4つが重なったとき、チョコレートしかないと思いました。
チョコレートは、お菓子です。でも、僕にとってはコミュニケーションツールに近いものです。
体調が波打つ人生の中で、体調が悪いときにそっと手が届く場所にある。飲み込みやすくて、栄養があって、おいしい。そういうものを作りたかった。
「なんでチョコレートなんですか?」
これからも、この質問に答え続けていきたいと思います。

